日記 2025/11/10

 天気:曇り
メンタル:まあまあリズムができていてよいほう

ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』はその99%が気持ち悪かった、という話は以前のブログで書いたが、唯一いいところもあった。それは、役所広司と三浦友和の対話のシーンでの影についてのやりとりだ。重なり合った影は濃くなるか、という話で、「濃くなってますか?」と訊ねる三浦友和に役所広司が「濃くなってますよ。濃くなってなきゃ変ですよ」というシーンだ(ふたりで街灯の下で実際に影を重ねてみる)。あそこだけはよいイメージとして妙に記憶に残っていて、日が経つにつれてもじわじわといいと感じる。役所広司の自分に言い聞かせているという感じがとてもいいのだ。実際に影が濃くなっているどうかは問題ではなくて、重要なのは「そうでなくっちゃ、やってられないですよ」というニュアンスで、その演技がいいのだ。

現実の生活でも「そうでなくてはやってられない」ことというのはいくらでもある。努力が実を結ぶとか、ちょっとくらいは報われたいということがいくらでもある。なぜなら、現実の多くのものごとはそうではないからだ。理不尽極まりないこの世界において、「重なり合った影は濃くなるかどうか」というのはそういう意味で「そうでなくてはやってられない」物事のひとつとしてなんか納得しちゃうのだった。

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